予告編論_覚書

映画は予告編が一番おもしろい。
あの高揚感や悲哀に満ちた映像と音楽、そして期待をもたせる数々のメッセージには、魔力でもあるのか?

宣伝でだけ目にして、実際に本物を観なければ自身の心のうちでは傑作として覚えられつづけるものもあるかもしれない。少なくとも観なければよかったという後悔は生じない。一生期待だけしておくべきという映画もあっていいかもしれない。喪失によって永遠の命脈を保つものは数こそ少ないものの芸術のうちには確かに存在する。

同じものの使いまわしでしかないのに、予告編のほうが時には実際の長いフィルムよりもできがいいと思えることすらある。

ニューシネマパラダイス』のラストのように、予告編ばかり集めて各テーマごとにくっつけ合わせたものがあるなら観にいきたい。
各テーマごとに編集してみたら、もしかしたら時代を横切る一編の映画史もどきができるかもしれない。