本ヲ整理セシコト

本棚ソノ壱

 本棚の整理をした。

 本棚四つというのがそもそも足らないのだ。しかし、これ以上本棚を買っても床面積が狭くなるばかりだ。
 なに何とかなる。人の頭の上の空間は案外広いものだ。床に散らばっていると汚い印象を与えるが、それは人が下ばかり向いているからであって、上の棚にごちゃごちゃ積んであってもそれほど気にはならない。結果、書籍空間は上へ上へと上昇運動をすすめることとなる。同じものを配置するにしても見せ方ということを考える必要がある。本はキッチと並べられていずとも本棚空間に収められてさえいれば、そこそこ見られるさまとなるものだ。
 というわけで、散乱する書物や書類を書架に入れ込んでいく。
 前列のものを奥に押し込みその手前に二重にして並べたり、上部の空いたスペースにも横にして詰め込むなどして、何とか積読[つんどく]状態は解消された。 
 部屋もずいぶん広くなった。思わず「まだまだ入るじゃないか」との科白が口をついて出る。麻薬中毒で倒れ、全身の血を入れかえる大手術のおかげで何とか一命を取り留めたキース・リチャーズの喜びの第一声「これでまたヤクが打てる!」を思いおこさせないでもない。