スニークプレビュー

 表題は覆面試写会のこと。当日会場に行くまで何が出てくるのかわからない映画試写会。『水のトラブル日記crash』の鑑賞券をくれるというので新宿まで観にいってきた。

 『夜のピクニック:長澤雅彦監督作品
 恩田陸の小説が原作。第二回本屋大賞を取ったらしい。

夜のピクニック

夜のピクニック

 茨城の田舎の高校生が修学旅行代わりの学校行事で朝から晩までひたすら歩いていく話。文部省推薦受けそうな、一昔前の(つまり佳日の)中学生日記のような、なんだか作られた青春ものっぽい感じ。ジュブナイル好きには(というかそういうものオンリーの人には)楽しめそう。特に目新しいことなく、最初っから全てが予定調和に展開していく。一日かぎりのイベントに全てを(映画内では友達が主人公にむりやり告白させようとする)凝縮させようとする流れというのは高校生の時分には確かにあって、自分も含めてみんな案外うきうき気分で楽しんでいたような気がする。いま思い出せば「くさいくさい、ああかっこ悪い」と耐え切れなくなるけど、実のところ当時もそういう「かっこ悪さをかっこよくふるまう」ことを「わかっている上で」やってたんだから、若気の至りなどとは簡単にはいえない。まあ程度の差こそあれ誰でもあんなもんだろ。
 対象年齢はローティーンか素直な高校大学生までかな。ふつうのひねくれもんは耐え切れないと思う。
 一緒に行った友達が言うには「主役の女の子はかわいい。僕の長年培ったタレント眼によると「あの子は売れる!間違いない」」んだそうな。

 映画鑑賞している自己の感情はといえば、くさい台詞と展開にカー、ペッペッと横向いて架空の唾を吐くほどには年食っているが、すでに改竄済みの記憶と照らし合わせ、しみじみと昔と会話する気分を味わうにはまだ日が足らないくらいの宙ぶらりんな意識状態を再認識させられて不思議な気分。