- 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
- 発売日: 2001/08/23
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ところで、この「最も好きな映画の一つ」という表現、形容矛盾ではないか、と思う人もいるかもしれない、たしかにmy most favorite filmというと唯一一つだけという感じだけど、「好きな」映画はいっぱいあるので仕方がない。大体同じ好きだっていろいろある。好きな女の子といっしょに観たい「好き」と無人島にもって行くとしたらこれ!という「好き」はぜんぜん違う。映画が嫌いになる理由はただ一種(監督や作品自体に)「あたまの悪い」という形容詞がつくことだけだが、好きになる理由は各種そろっている。
だから「好きな映画は?」と人に聞かれるといつも迷う。相手の好みが分かるなら、それにあわせたお勧めを答えられるけど、そうでない時が多すぎる。しかも、自分の体調や気分によっても変わってくるのでなおさらだ。せめて相手の傾向がつかめれば、戦争映画ならこれ、ファンタジーならこれ、という風に各分野ごとにベストムービーがあり、それらをあげてお茶を濁すことができるけど、実のところ生半可な分類なんぞ無視した映画が過大にあることを考えると、ジャンルわけなんて無駄という結論に至るので本当を言うとやっぱり即答は難しい。
で、アレックス君の悲喜劇、およびルートヴィヒと暴力の優雅で潔斎なコンビネーションについて、だ。
ぼくは何度観ても
・乾杯、ようこそ
・連発されるホラーショー
・酔っ払いを称える拍手
・イン・アウトの早回し
・連打だ! トルチョック! トルチョック!
・「雨に唄えば」の二度目の登場
・"I was cured alright."
など数々の名シーンが来るたびに、高笑いがとまらなくなる。最高だ、ホラショーという気分になる。人の足を踏みつけても、なるほどたしかに「他人が痛みにのたうっても、わしは痛くない」。自分は絶対的にその加害主体であるという限定された状況においては、一方的な暴力=快感という法則は当てはまると思う。映画を観ていると人をステッキでもって殴りつけ水路に叩き落したくなってくるのは否定しない。けれども「そう思う」のと「実際の行為に及ぶ」との間には格段の開きがあるわけで、禁止したからといってそういう犯罪が起きなくなるかといったらまったくそんなことはない。
こういうことを力説してっから「あの人は…まったく」なんていわれるのかな。
ぼくはこの映画大好きですが、それは人格がゆがんでいるせいだと言われても返す言葉はありません。
参考:幻の第21章。あのラストの続き。
http://www.geocities.jp/horrorshowguilty/cw21/cw21j.html
- 作者: アントニイ・バージェス,Anthony Burgess,乾信一郎
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1977/06
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