忙的休日

 「ルートヴィヒ・Bが直截な暴力に親和する驚き」について書いたら、第九のコンサートチケットを貰った。synchronicity!? 昔、登校するために家を出た途端にそれまで降っていた雨がぴたりとやんで「ぼくはまるでエルニーニョ*1だね」と当時居候していた祖母に言って鼻白ませたことを思い出した。


 昼みなとみらいに行って、「合唱つき」を堪能した後、渋谷に行ってhttp://www.wisepolicy.com/brokebackmountain/を観る。

 映画評論家町山智浩氏のブログに揶揄的に書いてあるけど、男二人のパワフルな友情にはみんなホモセクシュアルな匂いがあるのかな? そう言われればそういう気もするが。観ていて特に嫌悪感なんかないなぁ。むしろそういうものの方がより親密でいい関係な気がするのだけどどうだろう。本人がゲイか否かに関係なく、そうは思わないかな?


 以下、感想徒然。


・主役の二人の関係に影を落とすのは、ビラや宣伝にあるようなアメリカの現実というより、単純な三角関係及び彼等の個別の事情、すなわち「家族のために稼がなきゃ」ってことのように見える。


・主人公イニスは自分で言う以上に「頭が悪い」と思った。まあその意地とこだわりと相手への思いのせめぎあいがこの映画の味なんだけど… しかしなんでああた、自分の家の階段下で恋人のジャックに再会するなりいきなりキスなんですか? 奥さんからまるみえだよ。「不倫ならもうちっと用意周到にせえよ!」とどれだけ突っ込んでやりたかったことか。


・イニスの妻のアルマがすぐ切れて大騒ぎにしないところがすごいリアルだ! ていうか決して二人の関係が直接的な表沙汰にはならないところが、むしろ逆に生々しい。夫の秘められた恋を発見し(てしまっ)たアルマの震えは、ハル・ベリーに黒人女性初のアカデミー主演女優賞をもたらした『チョコレート』のラストと同じわななきにみえて、観ているこちらも嬉しくてゾクゾクした。


・やっぱりアメリカは弩の付く田舎だ。土地に根付くという考えを持っていないぼくとしては「とっとと二人で逃げ出して西海岸にでも行けばいいのに」なんて思ってしまったけど、そういう風には考えない人のほうが多いんだろうな。定住思想はうらやましくもあるが、大嫌いなものでもある。


・教訓:早死にしたときに備えて、仲の良い友達には「自分が死んだら両親を訪ねて俺の話をしてやってくれ」と頼んでおくべし。

*1:海洋・気象用語だけどスペイン語での本義は「神の子」