コルナイ・ヤーノシュ教授来日講演会


 12月に京大でコルナイ・ヤーノシュ教授の講演会があります。御年80歳。経済研究所の溝端先生がゼミ生達に言ったことには「今を逃せば二度とお目にかかれることはないでしょう」。よかったらどうぞ。


 教授はハンガリーの経済学者で、1956年の革命にも参加しナジ・イムレのスピーチライターなどをしていました。革命の失敗後は研究者になり、ワルラス一般均衡理論を社会主義経済に応用した計画経済モデルを開発しました。が、そのモデル実験の失敗から早くも社会主義経済の非効率性とその破綻を予見していました。その失敗の原因を彼は、経営が行き詰まっても最終的には上位機関により救済される「ソフトな予算制約(The Soft Budget Constraint)」にみていました。社会主義国では、ヒト・カネ・モノが必要以上に投入され、その割に生産効率が上がらないというわけです。これは、社会主義国に限らず日本の大企業や銀行に対してなどにも広くみられる現象です。教授の予想どおり、というか予想以上のスピードで東欧の社会主義は急速に崩壊したわけですが、彼の提唱した概念自体はいまだ有効なところも多いと思われます。


 同時に当局・友人から亡命を勧められたり西側の大学から招請されても、研究のためにあえて自国にとどまった教授の人生自体、激動の東欧史を駆けた研究者のライフヒストリーとしても感銘を受けるところが多いです。


 以上、元経済学徒の大学院生としておすすめの言でした。



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12月12日(金) 16:00-18:00
京都大学本部(吉田)キャンパス 経済研究所北館会議室
キャンパス地図


演題:
「ソフトバジェット・コンストレイントと公的領域」
'The Soft Budget Constraint (SBC) Syndrome in the Public Sector'


関連論文:
Konai/Maskin/Roland, 'Understanding the Soft Budget Constraint', ''Journal of Economic literature'', vol. 41 (4), Dec. 2003, pp.1095-1136


主催:
京都大学GCOE「親密圏と公共圏の再編成」内「経済統合・地域変容と社会政策」


連絡先
京都大学経済学研究科 八木研究室


コルナイ・ヤーノシュ自伝―思索する力を得て

コルナイ・ヤーノシュ自伝―思索する力を得て