サイレント・マジョリティとは誰か

こちらもナカニシヤ出版さんからいただきました。タイムリーなタイトルで、いわゆる「地域社会学」という言葉でとらえられてきた枠組みより広く考え直すという趣旨で書かれたテキストです。ありがとうございます。勉強させていただきます。

 

www.nakanishiya.co.jp

現地を歩き、人びとと出会い、話を聞き、人びとの現実へと一歩踏み込む

地域に生きる人びとの「つながり」や多様性を捉え直すために。
すでに知っていると思い込んでいる個人と社会の関係性を改めて学び直すために。
そして、「地域社会」という言葉が覆い隠してしまう私たちの想像力を再び活性化するために。


本書で用いる「サイレント・マジョリティ」という概念も、いわゆるポピュリスト政治などを代弁することによって表象される多数派の人びとという捉え方とは異なる意味で用いられている。むしろ、「サイレント・マジョリティ」という概念に節合される人びとの声の多様性に耳を傾け、この概念の政治性や均質性を解きほぐしていくために括弧つきで用いている。……本書に記述された人びとの日常的実践は、私たちの日常に溢れている地域社会という言葉やイメージには包摂されないものである。ゆえに、地域社会という言葉を鍛え直し、より多様な意味を引き出してくれるに違いない。そのために私たちは、地域社会という概念ゆえに沈黙せざるをえない存在として認識されてしまう人びとの声に耳を傾け、地域社会を語ってもらう必要があるのだ。

 

サイレント・マジョリティとは誰か―フィールドから学ぶ地域社会学

サイレント・マジョリティとは誰か―フィールドから学ぶ地域社会学