このごろ、チェーホフがお気に入り。染み入る。やはりユーモアはペーソスとともにあるのがふさわしい。
それにしても苦いなぁ。ああ苦い苦い。人生が苦いことなんて当たり前のことだが希望もまた味わい深く苦い。
トルストイが、あの嫌味な正宗白鳥が「ああ、我が敬愛するトルストイ翁!」と同情を禁じえなかったほどの(痛々しさとともにある)誠実な性格類型の持ち主、いわゆる黙っていられない人*1だったのに対して、チェーホフは決してそのまま語ったりしない。写真で見ると渋顔ばかり残っている。「そんなことはわかりきったことなんだ」といわんばかりのしかめっ面。彼は自分の苦しみを誰彼ともなく語ったりはしない。ただ沈静の中に潜ませるだけだ。
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*1:いまの僕なら、見ていてちょっぴりイライラするタイプだったかもしれん