高学歴ワーキングプア 「フリーター生産工場」としての大学院 (光文社新書)
- 作者: 水月昭道
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2007/10/16
- メディア: 新書
- 購入: 9人 クリック: 324回
- この商品を含むブログ (231件) を見る
本自体は決してよく出来たものだとは思わなかったが、紹介している先生のコメントにいいものがあったので紹介。
大学院は必ずしも 「フリーター生産工場」ではない | Theoretical Sociology
その通りだと思ったところを以下引用。太郎丸先生のおっしゃるように、自分がやりたいこととそのテーマへのニーズは別物だと自戒も込めて深く肝に命ずるべし。
(大学院への進学を迷っている人へのアドバイスとして)大学教員だけでなく、一般企業や官公庁などへの就職も選択肢として考えておくべきである。高学歴ワーキングプア増加の原因の一つは、「大学院生には、大学の先生になるしか道がない」という思い込みである。大学院で学んだことは、大学以外の場所でも生かすことはできるはずである。大学以外では、生かせないような研究テーマもあるが、そういう研究テーマはリスクが高いので、あまりお勧めできない。
たしかに大学教員にしかなれないと考えてしまうのは短慮だろう。だいたい大学教員は傍から見ている限り忙しすぎていまや皆が皆なりたがるものだとは思えない。そして運良く教員になったとしてもそれがただちに安定に結び付くわけではないのは会社員同様(やや悲惨に報道され過ぎのきらいはあるが)周知のとおり。
まあしかし院生だけが視野狭窄なのでもない。社会(=広い世界)vs 大学(=狭い世間)という二項対立は就職活動中の学部生なんかに時々みられる発想だけど、一言言わせてもらうと両者はそう変わりはしない。人間関係の薄い会社だってごまんとあるし大学にいたって学外との関係を広げることは可能だ。
とはいえ具体的なテーマが浮世離れしてようとも、大学が好きだからそのまま勉強を続けたいというのが院進学の理由になってしかるべきだとも思うんだが…
しかしこの本の読者は、大学院生がどうなろうとまったくどうでもいい大半の人(大学内外を問わず)と、さもわがことのように読んで悲嘆にくれ怒りに燃える一部の学生の両極端に分かれそうだな。